グローバルな社会的課題の解決に向けて
2015年、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」は、経済・社会・環境にまたがる世界共通の課題を解決するための目標であり、2030年までの達成が目指されています。企業に対しては、事業遂行を通じて目標達成に貢献することが呼び掛けられています。
商社は各時代における環境変化に対応し、自らが果たすべき機能・役割がどうあるべきかを常に考え、「時代の要請」に応えてきました。事業分野が多岐にわたり、ビジネス手法も複雑で分かりにくいと言われることが多い商社業界ですが、SDGsが提唱する17のゴールと商社の幅広いビジネスはとても親和性が高いことが、明らかになっています。
SDGsと商社
SDGsと親和性の高い、商社ビジネスの特性としては6点が挙げられます。
SDGsの特質 (目標達成に求められる視点) |
商社の強み |
---|---|
社会課題のグローバル化・ボーダレス化 | グローバルネットワーク グローバルネットな課題をいち早くキャッチし、国を超えて対応する力 |
複合的アプローチ | 複合的アプローチ 多様な機能・サービスによるビジネス創出力、引き出しの多さ |
パートナーシップ | パートナーシップ 地域や分野に精通したパートナーを活かすオーガナイザー機能、総合力 |
イノベーション | イノベーション 新規ビジネスの目利き力、さまざまな課題に対するソリューション提供力 |
全体を俯瞰したアプローチ | 全体を俯瞰したアプローチ 川上から川下までバリューチェーンの各段階に関与 |
目標ベースのガバナンス (バックキャスティング) |
未来志向 時代を先取りし、次世代を見据えた未来志向のビジネス展開 |
商社のサステナビリティ経営
SDGsやESG※1への関心の高まりを背景に「サステナビリティ経営」が注目されています。企業は利益追求だけではなく、社会や環境などの課題解決にも積極的に取り組み、社会の存続に貢献しなければなりません。投資家も、自社の経営戦略に環境・社会面のインパクトを組み込み、ESG投資を拡大する企業を高く評価するようになり、サステナビリティへの取り組みが強く求められる時代となりました。
こうした中、商社は、社会課題の中で自社が優先的かつ主体的に解決を図る「実行すべきこと」をサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)と定め、経営に取り込んでいます。自社の強みと商社機能を最大限に生かし、グループ企業と共に課題解決に取り組むことで企業価値を高めようとしています。
なお、こうした商社のサステナビリティに対する考え方は、創業時からの企業理念※2として、または従来から受け継がれてきたものとして、企業DNAに組み込まれています。商社は、SDGsやESGが注目される前から、社会や環境に配慮した事業活動を推進してきました。今後も、この理念を軸に社会課題に真摯に向き合い、解決を図ることで、企業価値の向上や各重要課題に対応するSDGsの達成につなげていきます。
最近では、サステナビリティに関する報告書を作ってESG項目別に情報を開示するなど、自社のサステナビリティへの取り組みを幅広いステークホルダーに理解してもらうための活動にも取り組んでいます。
- ※1環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)
- ※2三菱商事『三綱領』、住友商事『自利利他公私一如』、伊藤忠商事・丸紅『三方よし』など
商社の取り組みと関連するSDGs
- 地球環境を守る
-
脱炭素社会実現のため、再生可能エネルギー事業やリサイクル事業、環境保全に取り組んでいます。
- 安定供給を担う
-
食料・資源の安定的な供給体制構築に取り組んでいます。
- グローバルビジネスを支援する
-
ビジネス活動をさまざまな形で支援し、物流における環境負荷低減や人権を守るためのサプライチェーン構築に取り組んでいます。
- 豊かな暮らしを支える
-
すべての人への健康で豊かな生活の実現のために、インフラ事業、生活産業、ヘルスケア事業に取り組んでいます。
- 新たな価値を創造する
-
社会課題の解決に資するイノベーティブなビジネスの創出に取り組んでいます。
- 人と社会の豊かさ
-
多様な人材が価値観を共有し、成長できる機会・職場の実現に取り組んでいます。社会貢献活動を通じて各国・地域の発展に貢献します。